平成14年9月14日

UJI 花散歩 弐拾四



行く手は明るく刺激的だが―薔薇(バラ)

 バラのルーツを尋ねてみると、発掘された化石の分析から、野生のバラは3000万年も前にすでに北半球の各地に分布していたことが分かっています。それ以前にバラの祖先種は世界の何処かで生れ、分化しながら各地に伝わって行ったのです。では、バラの生まれ故郷は何処なのか? 真実は誰にもまだ分かっていませんが、近縁野生種の分布や遺伝的な変異の状況から、専門家はヒマラヤの麓や渓谷あたりが、バラの発祥地としてもっとも可能性が高いとみています。バラは、伝説やロマンに彩られた究極の植物であるといわれていますが、単に優れた園芸植物というだけでなく、文芸・美術、さらに香料や薬の分野でもきわだった役割を演じてきました。バラの栽培史については、紀元前500年頃に古代中国の宮殿(周王朝)の庭で栽培されたのが最も古い記録だそうです。ギリシャでも紀元前後に栽培され始めたようですが、一般化したのは3世紀のローマ帝国時代以降といわれています。ローマ帝国の崩壊とともにバラの栄華も一時衰えましたが、やがて7世紀中期にサラセン帝国の隆盛をみるに及 んで、バラは南欧スペインまで到達します。バラの東西交流に果たした十字軍の役割も極めて大きかったといわれています。十字軍は11世紀から13世紀の間に7回遠征しますが、東方からの帰りにバラの新種を西ヨーロッパに持ち帰って広めたのです。近代に入り様々な交雑が繰り返し試みられ、遺伝変異に富む魅力的なモダンローズが数多く発表されました。現代も新しいバラを求めてやまないバラ愛好家や育種家達によって、バラは少しずつ姿を変えてきました。優れた形質を持ちながら、これまで一度も遺伝資源としてバラの育種に使われていない野生バラが沢山あります。これらを交雑の親に活用することによって、もっと新しいタイプのバラが生まれてくる可能性があります。バイオテクノロジーを駆使した青色のバラも、近い将来私達の前に姿を現してくれるといわれています。バラの行く手はますます明るく刺激的といっても過言ではありません。が、1000年後にバラをみてみたら、如何なものでしょうか? (智泉荘周辺)












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