平成14年9月22日

UJI 花散歩 参拾壱



夏は休眠、秋雨をたっぷり含み、その季節を待つ―彼岸花

  彼岸花(ひがんばな)は別名、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)といい、昔から人々の生活の中にあった人里の花です。原産地は中国の長江上流域で、日本へは約2500年前に稲作技術と同時期に伝来したと考えられます。秋の彼岸の頃に咲くため「彼岸花」と名づけられ、別名の「曼珠沙華」は、葉が出る前に「まず咲く」「真っ先に咲く」の音に仏教の「曼珠沙華」の文字をあてたという説があります。その呼び名は、地域によって幾つもあるようですが、ある研究家の調査では1140もあるといいます。呼び名のひとつに「はなしぐさ」というのがあります。花の咲いている時期には、葉を見ることがないところから来ているのでしょう。地上部からスルスルと花を支えている茎が伸びて来ています。葉で光合成をして栄養をつくり生活しているはずの植物に葉がないのです。夏が過ぎ、秋雨が降り、やがて彼岸という頃、花が咲き始めます。蕾をつけてニョキニョキと伸び、一日に10pも花茎が伸びていることも珍しくありません。瞬く間に50pを超えるほど伸び、あの真っ赤な花を広げます。こんなに一時に成長する栄養はどうするのか? 地下に球根があり、そこが「栄養の貯蔵庫」なのです。しかし、葉のない彼岸花が、どのように栄養を貯蔵庫にためたのか? これは花が枯れてしまった後、球根から葉が伸びてくる。スクスクと伸びた緑の葉のままで冬を越す。周りの植物たちは、当然枯れてしまっている。光りはたっぷり独り占め。翌年春までせっせと光合成をして「栄養貯蔵庫」にたんまりと栄養をためます。そして周囲の植物たちが、春先に芽を出し、夏にかけて「光り取り競争」を展開するころには、葉を枯らし、夏の休眠に入り、秋雨をたっぷれ含み、その季節(とき)を待つのです。あの真っ赤な燃え上がるような美しさ、力強さ、そして一気に咲き、すぐに枯れてしまう儚さもあって、人々の心に印象深くとらえられたようです。花言葉は「悲しい思い出」です。(智泉荘周辺)

※「UJI 花散歩 参百八拾四」自然交雑種の白い花―白花曼珠沙華













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