平成14年11月2日

UJI 花散歩 六拾七




気高い神聖な花―カワラナデシコ

   草の花はなでしこ 唐のはさらなり 大和のもいとめでたし うつくしきものは
    なでしこの花 『枕草子』

 ナデシコ(撫子)の花は、日本原産のカワラナデシコ(河原撫子)のことですが、平安時代に渡来した中国産のカラナデシコ(唐撫子・石竹)と区別するためにヤマトナデシコ(大和撫子)と呼ばれるようになりました。のちに「大和撫子」は、その花の風情を日本女性にたとえ、清楚でつつましい日本女性の代名詞として定着してゆきました。昔から愛されてきた花で、秋の七草に詠まれ、古歌などにも詠われているナデシコは、大抵このカワラナデシコです。『万葉集』には、ナデシコを詠んだ歌が25首あるそうですが、第十八巻に、

  なでしこが花見るごとに娘子(をとめ)らが
           笑(ゑ)まひのにほひ思ほゆるかも  大伴家持

 とあります。ナデシコの花を愛した家持の、いとおしい妻への思いを、この花に託して歌を詠んだ気持ちが伝わってきます。ナデシコの可愛らしい姿が幼い子供のようであるところから、「撫でし子」といわれるようになったそうです。本当に優しい可憐な花ですね。他種と異なり、晩夏から初秋にかけてピンクの切り込みの深い花を咲かせ、なかなか風情があります。学名のDianthus(ディアントス)は、ギリシャ語dios(神聖なの意)とanthos(花の意)に由来します。ヨーロッパでは最も神聖な名を持つ植物といえます。カワラナデシコの学名Dianthus superbus(ディアントス・スペルブス)のスペルブスは「気高い」という意味で「気高い神聖な花」ということになります。花言葉は「純愛」「思慕」「貞節」です。(智泉荘周辺)












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