平成14年11月16日

UJI 花散歩 八拾



秋はもみぢ葉―モミジ
−後編−

 個人的な話で恐縮ですが、二つの思い出を……。厳島(いつくしま)神社で名高い日本三景のひとつ安芸(あき)の宮島で私は生まれた。もみじ饅頭の宮島である。いつごろまでであろうか、私は毎月一日の朝、家族に手を引かれて厳島神社に参拝した幼い日を思い出す。多分、11月の1日なのだろう、もみじ谷の真っ赤なモミジを神社参拝ののちに見に行ったのは。その思い出には、ほのかなあたたかさが残るが、幼い私は何故かもの悲しかったのを遙か彼方の記憶で覚えている。もうひとつの話。北海道の十勝(とかち)に4年半、赴任していたことがある。秋になると観楓会(かんぷうかい)なるものが盛んに行なわれる。地元の人に聞いてみると、冬が来て雪や氷に閉ざされる前に、紅葉を愛(め)で、酒を酌み交し、心から語り合う、北の大地に生きる人々のひとつの知恵なのだという。私は、ほのかなあたたかさと何故かもの悲しさを感じた。それは、安芸の宮島のもみじ谷の思い出を呼び覚ました。

  色付きや豆腐に落ちて薄紅葉  芭蕉

  山くれて紅葉の朱をうばひけり 蕪村

 川端康成は『美しい日本の私』の中で、「日本の繊細な哀愁」は「自分により近いもの」と語り、自分の作品を「虚無」と評されることがあるが、「その心の根本は、四季の美しさを歌いながら、実は強く禅に通じたもの」で「西洋のニヒリズムとは異質なもの」と言っている。「美しい日本の私」=「美しい宇治の私」を味わいに宇治別格本山にお越しになりませんか? この一週間が“もみぢどき”です。
























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