平成14年12月12

UJI 花散歩 壱百六



十両―ヤブコウジ

 さて、「一両」につづいて「十両」です。この植物はヤブコウジ(藪柑子)といいますが、近代になって名付けられたもので、古くは赤い果実を山のミカンに見立てたヤマタチバナ(山橘)の名で良く知られていましたが、それがヤブコウジ(藪柑子)になったといいます。チタバナ(橘)はコウジミカン(柑子)の古い名前です。ヤブコウジには“したたかな戦略”がある、と聞いたことがあります。それは「緑」と「赤」という色です。私たちの心を浮き立たせるクリスマスカラーは、冬に葉をつけている常緑樹に小鳥の好きな赤い実がたわわに実ったときの色の取り合わせです。ヤブコウジが「おめでたい」のは、いつまでも同じ葉と同じ実をつけ続け、私たちに「永遠の生命」を感じさせてくれるからです。ヤブコウジがあまりその姿を変えないのは、それが椎(シイ)や樫(カシ)の茂る照葉樹林の下で生きる植物だからです。照葉樹林は、高木から低木まで常緑の木ばかりの林です。暗い林の下のほうでは、茎を伸ばして少しくらい高い位置に葉をつけても、光条件は大して改善されません。 それを悟っているかのように、ヤブコウジは上にはほとんど茎を伸ばしません。その代わり、地面に水平に這わせた茎をきわめてゆっくりと成長させながら、差し込む光が少しでも多い場所を探しているようです。暗い場所で生きるヤブコウジの葉の寿命は相当長く、少なくとも数年間は同じ葉をつけ続けます。一方、ようやく実らせた果実は、鳥などの種子散布者が見つけてくれるまで、できるだけ長くつけています。ヤブコウジ科。学名は、Ardisia Japonica です。花言葉は「ふくよかな愛」「明日の幸福」です。(智泉荘周辺)













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