平成15年4月18

UJI 花散歩  壱百九拾六

葵かざしし加茂の瑞垣―フタバアオイ

 フタバアオイ(双葉葵)の花は、決して美しいと思えませんし、目立つものではありません。以前紹介したカンアオイ(寒葵)の花もそうでした。しかし、葉の形と逆光に透けて見える葉脈の美しさは格別です。徳川家の三つ葉葵の家紋は、このフタバアオイの葉を3枚組み合わせてデザインしたものと言われています。京都の加茂神社の祭りの飾りにも使われるのでカモアオイ(加茂葵)とも呼ばれています。アオイの名は『万葉集』に出てきます。
   梨棗黍に粟つぎ延う田葛の後も逢はむと葵花咲く(巻16−3834)

意味は解りにくいのですが、ナシ、ナツメ、キビにアワが続いて稔り、クズが這って伸び、その先で絡み合うように後に逢おうとアオイの花が咲いている、と植物の名を連ねた遊び心の中に、 黍(君)に葵(逢う日)を掛けているようです。このアオイは、冬の間も枯れずに食用にされたフユアオイのようです。『万葉集』のアオイと異なり、『源氏物語』はフタバアオイです。

   引きつれて葵かざししその神をおもへばつらし加茂の瑞垣(須磨の帖の歌)

行列をつれ葵をかざしていた加茂の祭りを思えば、今の境遇がつらく、加茂の神が恨めしい、と葵をはっきりと加茂の祭りに結びつけています。それは、現在も続く京都の加茂神社の「葵祭」なのです。 














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