平成15年5月7

UJI 花散歩  弐百弐拾参

大風を防ぐ花―イチハツ

 イチハツ(一八・鳶尾)の語源は、アヤメ科の中で一番早く咲くという意味ですが、実際の開花はシャガよりも半月ほど遅れます。昔は、大風を防ぐと信じられていたため、藁屋根に植えられ、初夏に美しい花景色を見せたといわれます。種名の tectorum は「屋根の」という意味からつけられています。子安草、水蘭といった別名もあります。原産地は中国で、中国中部から南西部、ミャンマー北部にかけて分布しています。アヤメ、カキツバタ、ショウブなどと形態がよく似ていますが、イチハチの葉は三〜四センチと幅が広いので、見分けるときのポイントになります。中国では、イチハツの根を乾燥させたものを「鳶屋根」または「鳶頭」といい、薬として使われています。江戸時代の『草木図説』(1832年)では、イチハツは薬用と記載されているところをみると、日本でも薬として用いられていたようです。イチハツは、花材としての歴史は長いのですが、ハナショウブやカキツバタなどの美しい姿と色彩のものがあるので、素材として格落ちしたような印象があります。しかし、近代になってからのイチハツは西洋種のものによって改良され、葉がしっかりして、力強さという点では、他のアヤメ科のものに比べてすぐれているといえます。また、花つきも多いのも魅力の一つといわれています。(愛泉荘周辺)













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