平成15年5月8

UJI 花散歩  弐百弐拾四

不思議なシステムを持つ植物―マムシグサ

 やぶの中でマムシのような斑点を持った茎を伸ばし、その花がまるでマムシが鎌首をもたげたような異様な形をした植物ですから、マムシグサ(蝮草)は気味悪がって毛嫌いする人も多いようです。もっとも茎のように見えるのは、葉柄が発達して出来た偽茎といわれるものです。花のように見えるのは、実は花を包んでいる苞(ほう)です。この筒のようになった苞の中に棍棒状の軸があり、その周りに萼(がく)も花弁も持たない雄蘂・雌蘂だけからなる花がついており、この全体を花序といいます。
 マムシグサの仲間は、一応雌雄別株ですが、しばしば性転換をすることで知られています。球茎(イモ)にある程度栄養が溜まると雄株になり、さらにたっぷりと溜まると雌株になります。しかし、実をつけて栄養を使い果たした次の年は、雄株になります。
 筒の内壁は滑らかで滑るので、落ち込んだ昆虫は雄蘂か雌蘂を足がかりにして上へ逃げようとしますが、軸の上の方にはネズミ返しのような膨らみがあって、それ以上登ることが出来ません。また、その膨らみのために筒の中が狭くなっているので飛んで逃げることも困難です。しかし、雄株では、小型の昆虫なら苞の下部の合わせ目の隙間から外へ脱出することができます。その時は苞の底に溜っている花粉にまみれて真っ白になっています。その昆虫が雌の花序に入ったとしますと、この苞の合わせ目はほぼぴったりと閉じて逃げ出すことが出来ません。昆虫は逃げ道を求めて、歩き回り花粉を雌蘂につけることになります。
 そして最後は、花序の中で死んでしまいます。雌の花序の中には多数の昆虫の死骸が見られます。昆虫にとっては恐ろしい罠ということになります。昆虫が先に雌の花序に入ると、そこで死んでしまうため、花粉をもらうことが出来ないので完璧なシステムではないようですが、不思議な仕組みです。(智泉荘周辺)


雨の日に

※俗にヘソクリと呼ばれる―カラスビシャク「UJI花散歩 参百七拾参













©生長の家宇治別格本山