平成15年5月12日

UJI 花散歩 弐百弐拾八

静御前の面影―フタリシズカ

 早春、葉や茎の伸びきらない頃、先端に白い花穂を一本出すヒトリシズカ(一人静)は、その清楚な感じを義経の愛妾・静御前(しずかごぜん)にたとえたものです。また、吉野山での静(しずか)の舞姿の美しさにちなんで吉野静(よしのしずか)の別名があります。宇治別格本山には残念ながらヒトリシズカはありません。フタリシズカ(二人静)は、ヒトリシズカと同属で、二本の花穂は、静御前とその亡霊の舞姿にたとえて名づけられました。能曲に「二人静」がありますが、吉野の勝手(かって)神社の神官が従者に命じ、女達に神事のための若菜を摘みに行かせます。そこに里の女が現れ、「一日経を書いて自分を弔ってくれるよう伝えて下さい。もし疑う人がいるようでしたら、あなたに憑いて名を名乗ります」と言って姿を消しました。菜摘女は驚いて神社に戻って神官にその出来事を伝えます。途中で菜摘女の様子が変わります。静御前の霊が憑くのです。神官の所望を受けて菜摘女が舞い始めると、静御前の霊が現れて菜摘女の影のように寄り添って舞い、義経の吉野落ちの様子や鎌倉での出来事を物語り、弔いを頼んで消えていきます。この能曲「二人静」は、静御前が吉野で大勢の人の前で舞いを舞って人々の気を惹きつけて義経の逃亡を助ける「吉野静」の後で創作されました。花言葉は「静御前の面影」です。(智泉荘周辺)













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