平成15年5月26日

UJI 花散歩 弐百四拾九

賢人や君子にたとえられる―シラン

  「この花の名前はなんて言うの?」
  「知らん」
 関西弁の「そんなもん“知らん”」は、花の「シラン(紫蘭)」とはイントネーションがちょっと違います。シランの名前の由来は、花の色から紫蘭(シラン)と呼ばれています。しかし、白い花色のシロバナシラン(白花紫蘭)やキバナショウハクキュウ(黄花小白笈)=キバナシラン(黄花紫蘭)、それに唇弁に紅色の斑が入るクチベニシラン(口紅紫蘭)などもあります。シランは薬草としても有名です。

    君知るや薬草園に紫蘭あり  高浜虚子

 薬草としても有名ですが美しさもひとしおです。

    紫蘭咲いていささか岩もあわれなり  北原白秋

『万葉集』では「宦iケイ)」として出ています。

……蘭宸ュさむらを隔て、琴雛pゐることなく空しく令節をすごし……
                 大伴池主(巻十七―3967)  

 これは大伴家持の書状に対する大伴池主の返書の一部です。「蘭」は「シュンラン」、「宦vは「シラン」で賢人や君子にたとえられます。ここでは、親しい交友関係を意味しています。琴垂ヘ「琴」と「酒樽」のことです。文の意味は、「……親しい交わりの貴方と逢うこともなく、ともに酒を酌み交わし琴を弾ずることもなく、好い時節をいたずらに過ごして……」というものです。気品があり、賢人や君子にたとえられるのも理解できます。花言葉は「互いに忘れないように」です。(智泉荘周辺)













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