平成15年6月10日

UJI 花散歩 弐百七拾

色紫気香、芳麗可愛―アジサイ

 中国の唐の詩人・白楽天(白居易)は、江州の群守をしていました。ある日、管内の招賢寺を訪れました。寺僧が白楽天に名前が不明な紫色の美しい花を見せました。白楽天はしばらく花に見惚れました。そして寺僧に一詩を与えました。

 紫陽花詩
何年植向仙壇上(何れの年にか植えて仙壇の上に向う)
早晩移栽到梵家(早晩移栽して梵家に到る)
雖在人間人不識(人間に在るといえども人識らず)
与君名作紫陽花(君がため名づけて紫陽花となさむ)

 そして『白氏文集』(巻第二十)には、「紫陽花詩」の註があります。

招賢寺有山花一樹、無人知名。
(招賢寺に山花一樹あり、名を知る人無し。)
色紫気香、芳麗可愛、頗類仙物。
(色紫にして気香しく、芳麗にして愛すべく、頗る仙物に類す。)
因以紫陽花名之。
(よって紫陽花を以てこれを名づく。)

 平安時代になって源順(みなもとのしたがう)が、白楽天の造語の「紫陽花」をアジサイと思い込み、自ら記した『倭名類聚抄』に「白氏文集律詩に云ふ、紫陽花 和名安豆佐為」と書きました。その後、貝原益軒も『大和本草』で「紫陽花」と書いており、アジサイに「紫陽花」の字をあてることが定着しました。しかし、アジサイは日本原産の植物です。白楽天が紫陽花と名づけた花は、実際は別の花だったと考えられます。(智泉荘周辺)



※「花散歩 弐百七拾七」 常山紫陽花―アジサイ U
※「花散歩 弐百八拾七」 紅額―アジサイ V

※「花散歩 参百九拾壱」 芽!












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