平成15年7月6日

UJI 花散歩 弐百九拾六

古来より四徳がある―クチナシ U

 智泉荘の裏の茶畑の小径を歩くと、ほんのりとした甘いクチナシ(梔子)の花の香りが漂ってきます。どんよりとした梅雨の重苦しさをひととき忘れさせてくれます。雨に濡れたあとの夕暮れには、ひときは強く香るといわれています。クチナシの純白の花は、花言葉の通り、「清楚」「清浄」「純潔」を暗示させます。
   くちなしの白い花なりこんなにも
          深い白さは見たことがない  山崎方代(ほうだい)
 古来よりクチナシには四徳があるといわれています。これは「純白の花」「清純な香り」「冬でも青く茂る葉」「橙色に熟す果実」をさしています。また香りは特に人々を魅了し、春のジンチョウゲ(沈丁花)、秋のキンモクセイ(金木犀)に並んで、夏のクチナシ(梔子)が香りのよい花木の代表でしょう。中国でも、ユリ(百合)、キク(菊)、スイセン(水仙)などとともに、天下の名香花「七香」のひとつとされています。
   くちなしの 姿香りは 語り過ぎ  詠人知らず
 クチナシの名前の由来は、秋に稔る果実が熟しても裂開(いくら熟しても口を開かない)しないことから「無口」といわれるようになった、という説と、また、種子をたくさん蓄えて黄色から橙色に熟す果実を梨に見立て、上部に残る「萼片」を鳥の嘴に見立て、口をもつ梨、つまり「口梨」となったという説とがあります。碁盤の足のことを「くちなし」というのは、その形がクチナシの実と似ているからだそうです。この果実は、中国名ではサンシシ(山梔子)と呼ばれています。
   夏の日はなつかしきかなこころよく
          梔子の花汗もちてちる  北原白秋
 古くに延喜18年(918年)頃に深根輔仁(ふかねすけひと)が著した日本で最古の植物名が記された書物の『本草和名(ほんぞうわみょう)』には、「久知奈之(くちなし)」として収載されています。(智泉荘周辺)

*山崎方代……2003.6.30『産経新聞』の「産経抄」参照
【「UJI花散歩 壱百壱拾参」参照】













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