平成15年11月11日

UJI 花散歩 参百参拾七

ゲーテの詩にシューベルトが作曲―ノイバラ

 ノイバラの名は野薔薇、野に生える薔薇という意味です。薔薇をイバラと言うのはトゲがあるからで、イバラは元来、トゲのある低木の総称です。日本全国の野山に自生する野生薔薇の代表種です。地方による異変が多く、フジイバラ(関東・近畿・四国)、ツクシイバラ(四国・九州)、ミヤコイバラ(中部以南・四国・九州)、ヤブイバラ(近畿以西)があります。ノイバラは、春に白い小型の、ほのかな香りのある五弁の花を開き、多くの花が集まって咲きます。学名の「ローザムールチフローラ」は、「多くの花がつくバラ」という意味です。ゲーテの詩にシューベルトが作曲した「♪童はみたり、野中のバラ」で登場するバラは、このノイバラのことです。秋には紅色に熟す球形の偽果(小房以外のものが、果実にみえるよう変化したもの)を結びます。いけばなの花材としてのバラには、「薔薇」と呼ばれる伝統的なバラと、明治以降栽培されるようになった西洋種の二種がありますが、ノイバラは野薔薇などと呼ばれて、古典花以来長く使われきた伝統的な花材のひとつです。花は小さいためそれほど見栄えがするわけではありませんが、可憐さや清楚さが表現できるそうです。果が着いた枝の方が花材としては使いやすく、半蔓性の性質を生かした野趣あふれる表現に適しています。『万葉集』(巻20−4352)に、

 道の辺の荊(うまら:ノイバラ)の末に這ほ豆の
           からまる君を別れか行かむ   丈部鳥(はせつかべのとり)

 とあります。花言葉は「素朴なかわいらしさ」です。(智泉荘周辺)

※「UJI花散歩 参百五拾八」 芳香のある白い花―ノイバラU









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