平成16年5月2日

UJI 花散歩 参百四拾五

恋忘草見れど生ひなく―ノキシノブ


 ノキシノブ(軒忍)は、家の軒先に生育し、土が無くても堪え忍ぶという意味で名前がつきました。大樹の樹皮や崖、傾斜が急な場所の地表などに生育します。長期間乾燥すると葉は内側に巻いて細くなってよれてしまい、乾燥への対応をします。軒先にしろ、樹幹にしろ、崖にしろ、降雨時にはたっぷりと水を吸い、湿っているわずかな期間だけに光合成を行い、後はひたすら堪え忍ぶ生活をします。ノキシノブは多年草ですが、シダ植物なので花や実はありません。楠の木荘周辺の門に、苔の密生する檜の皮で葺いた屋根の軒先にノキシノブが生えていました。中国では、ノキシノブのことをシチセイソウ(七星草)、キンセイソウ(金星草)、コツハイソウ(骨牌草)などと呼ぶそうです。日本では、ノキシノブのことをシノブグサ(忍草)、ヤツメラン(八目蘭)、イツマデグサ、マツフウラン、カラスノワスレグサともいいます。季語としては秋なのだそうです。古名はシダクサ(子太草)ですが、『万葉集』(巻11−2475)にこんな和歌がありました。

   わが屋戸(やど)の軒の子太草生ひたれど
                恋忘草見れど生ひなく
                               *子太草…しだくさ=ノキシノブ

(楠の木荘周辺)









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