平成16年10月30日

UJI 花散歩 参百五拾四

御庭番も初めて―ハナワラビ


 「ワラビの紅葉」と書くと山菜の姿しか見たことのない人には、何のことかと思うかも知れません。ワラビ(蕨)は、シダ類であり、落葉性(冬枯れる)という理解があって始めて納得できるものです。淡い黄色の紅葉は、「くさもみじ」とまでは言えませんが、秋の草原の風景の一つではあります。ワラビは万葉の歌にも入っています。志貴皇子(しきのみこ) が、春の宴で春の訪れをよろこんで詠んだ歌です。

  石(いは)ばしる 垂水(たるみ)の上の さ蕨(わらび)の
             萌(も)え出づる春に なりにけるかも  巻第 8 - 1418

 ワラビは、早春の土の甘い香りを口に運んでくれる食物の一つです。山菜として食べることはあっても、実際にワラビ取りに行く機会はあまりないかもしれません。ビタミンB1を壊す酵素が含まれている、とか、発癌性物質が含まれている、と騒がれている割には人気のある山菜です。アク抜きで分解酵素も発ガン物質も大半が除かれるので、充分なアク抜きが必要です。ワラビは日本人なら誰でも好きです。ところが外国人は全般的にシダ植物を食べる習慣はありません。ワラビは草原に行けばたくさん生えていますが、人件費が高いため、日本ではワラビを採っても、商売として成り立ちません。今、日本で目にする水煮ワラビは、中国やロシアからの輸入品です。シベリアは野菜が乏しいので、日本人に教えられてワラビを食べるようになったそうです。ところで「ハナワラビ」は、「冬の花ワラビ」とも言われ、山野草の愛好家にもてはやされるものです。また、茶花としても使われます。宇治別格本山の智泉荘の御庭番の方々にお聞きしますと、御庭番を始めてここ10年来、宇治別格本山では見たことがないそうです。風に運ばれて飛んできたのだろうとのことでした。(智泉荘周辺)









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