平成19年5月26日

UJI 花散歩 四百



文化勲章の花 − ヤマトタチバナ




薫風の五月といいますが、
山に囲まれた宇治別格本山では、
風が爽やかに、
木々の甘い香りを運んできます。




先日、金剛心参道を歩いていると、
突然、濃く甘い香りに包まれました。




足元を見ると

白い花びらがたくさん落ちていました。

直径1.5センチほどの肉厚な花びらは、
香水がしみこんでいるのかと思うほどの強い香りです。



見上げると、そこには




白い花をいっぱいにつけた木がありました。


調べてみますと、これがかの有名な、
万葉の歌などによく詠まれる「橘(タチバナ)」


タチバナは、ミカン科ミカン属の常緑小高木で、
別名ヤマトタチバナ、ニッポンタチバナと呼ばれています。

日本に古くから野生している日本固有のカンキツです。





冬になると、直径3センチほどのオレンジ色の果実をつけますが、
酸味が強いため、食用には不向きだそうです。

タチバナは、 古くから、実より花や常緑の葉が注目されていました。


聖武天皇が三千代の子の橘諸兄に与えた歌として、
このような歌が残っています。

 橘は 実さへ 花さへ その葉さへ 枝に霜ふれど いや常葉(とこは)の樹

松などと同様、「常緑」=「永遠」ということで尊ばれたようです。








また、“文化勲章”は、この橘の5弁の花の中心に、
三つ巴の曲玉を配したデザインだそうです。
鈕にも、橘の実と葉が用いられています。

デザインは、東京美術学校教授の畑正吉。
当初は、サクラの花のデザインが考えられましたが、
昭和天皇の「文化は永遠であるべき」とのご意向で
常緑樹の橘によるデザインになったのだそうです。





万葉集には橘の歌が七十余首あります。
中から一首をご紹介します。


橘の 花散る里の ほととぎす 片恋しつつ 鳴く日しそ多き

太宰師大伴卿 万葉集










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