僕が今回の練成に参加しようと思った理由は、今とても辛い出来事がたくさん重なったことで、
どうにもならなかったからです。

　僕は昨年の二月から約一年間入院していました。
その間に食道アカラシアという、食道が全く機能しなくなり、食べ物が胃へと送られず、
食道に留まってしまい、胸痛を起こしたり吐いたりする難病にかかりました。
固形物だけでなく、水分さえも全く摂る事が出来なくなるという非常に珍しい病気です。

　しかしその病気を発症した時の医者の診断は、摂食障害の拒食症だと決め付けられ、
精神病院に入院させられました。
そこでは栄養を摂るために点滴を打たれ、経鼻挿管栄養や胃ろうまでさせられ、
ほぼ寝たきりの生活を一年近く送っていました。

　僕は精神的なものからくる摂食障害ではないと自覚していたため、
他の大きな病院で詳しい検査をして欲しいと何度も訴えていたのですが、
医者や看護師は全く聴く耳をもたず、逆に大量の精神薬を処方され、
両親も自分ではなく医者の言い分を信じて、僕の周りでは誰一人味方がいない状態で、
正に生き地獄でした。

　生きているのが辛くなった僕は病院を無理やり抜け出し、自殺をしようとしたのですが、
長い入院生活で体力が減っていたこともあり、あっけなく捕まり、今度は保健室に入れられ、
車椅子で拘束されました。

　その時の僕はあまりの強い絶望感で、生きる希望も完全に見失っていました。
そんな時、今まで信じてくれなかった母が医者に大学病院で検査をさせて欲しいと頼んでくれ、
ようやく開放され、病院で検査を受けました。

　バリウム検査の結果、食道アカラシアだと判明し、三ヵ月後に東京の病院へ行く事になりました。
しかし、その後も絶望的な生活が続きました。看護師のミスにより腹膜炎を発症し、
大腸を緊急オペをして、体重が２０キロも減少しました。

　東京の病院に転院して二ヶ月経ち、アカラシアの手術を受け、無事成功しましたが、
いざ病院の普通食を食べてみると、水分や軟らかい食べ物は咽喉を通るのですが、
普通の固さの物や白米などはうまく食べられず、途中で詰まってしまい、
手術をしても普通に食べる事が出来なくなり、食事もものすごくゆっくり柔らかいものを
食べるしかありませんでした。

　一ヶ月後、ようやく退院が出来ました。
しかし、長い時間苦しんでいた自分の心は既に光りを見失っており、
自分を信じてくれなかった精神科の医者や看護師、両親への憎しみと、
今までのように自由に食事が出来ない悲しみだけが残りました。

　学校は休学しているため、実家で復帰に向けて療養をしていたのですが、
親とは何度も言い争いをし、心を閉ざしてしまいました。

　その時、父親がもともと生長の家をやっていたので、「宇治の練成に久しぶりに行ってみないか」
と言われ、深い葛藤の末、それでも少しは今の状態から何か変化があるかも知れないと思い、
今回の練成に足を運びました。

　最初は暗い気持しかなく、誰にも話しかけないで過ごしていました。
講師の方々の講話や、個人指導を受け、少しずつ自分の考え方や気持ちが
変化していったと思います。

　特に長田講師の個人指導の際
「神様はあなたの魂が更に大きく成長するために試練が与えられたんだよ」
とおっしゃった言葉がとても大きく心に響きました。

　僕は病気になって苦しんでいた一年間は無駄なものでしかないと思っていたからです。
しかし、この言葉の意味を考えてみると、僕が誰も知ることの出来ない体験をしたことで、
自分の心、魂に大きな変化を与え、成長させてくれたと、良い方向に捉えることが
出来るようになりました。

　浄心行では、現在自分の内にある医者や看護師、両親に対する許せない
憎しみの感情を全て吐き出し、焼却しました。
焼却が終わり、お父さん、お母さんへの「ありがとう」の言葉を唱えている時、
今まで許せなかった憎しみの感情が薄れてゆき、逆に精神病院にいた時から
毎日のように欠かさず面会に来てくれ、献身的に支えてくれた母の姿と、
何度も喧嘩をしたけれども、退院してから毎朝必死に五時に起きて聖経を誦げていた
父の姿が浮かび上がり、自然に涙が込み上げてきました。

　自分は今まで両親の悪い面ばかりを見て否定していたけれど、
両親がこんなにも自分を想っていてくれたこと、また苦しんでいたのは自分だけでなく、
それ以上に悲しい思いをしていたという事に今頃気付いて、とても恥ずかしくなりました。

　浄心行を通して父と母に感謝することが出来、とても素晴らしい体験になりました。
そしてもう一つ、今回の練成に参加して素晴らしい仲間に巡り合うことが出来ました。
みな、それぞれ違った悩みや経験を持っていて、色々な想いを知り、感じ取り、話す事が出来たし、
自分の抱えている辛い想いや状態も受け入れてくれ、思いやりの心で接して頂けて、
日に日に笑顔が増えていき、自分や人の良い点を見つける事が好きになりました。

本当に感謝の思いでいっぱいです。宇治の練成に来て本当に良かったです。